空間周波数領域でのフィルタ処理
物質や情報の中から,必要な部分のみを取り出す働きを持ったものを一般にフィルタと呼びます。身近な例では,コーヒーフィルタもその一つです。画像にフィルタをかける方法の一つとして,空間周波数領域でのフィルタ処理があります。その例を紹介しましょう。
下の図は,海カモメの画像を空間周波数領域に変換して得られたスペクトルのうち,低い周波数成分を取り出し,そのスペクトルから画像を復元したものです。黒い背景の中に白色の円が描かれた図がありますが,これがフィルタです。スペクトルの中央部(低い周波数の部分)を丸くくりぬき,低い周波数成分のみを残す働きをします。
復元された画像は,もとの画像に比べるとぼやけています。これは,低い周波数成分は画像のおおまかな形状を表現していることを示しています。
低域通過フィルタを使った空間周波数領域での画像処理の例
(低い周波数成分を取り出す)
下の図は,海カモメの画像を空間周波数領域に変換して得られたスペクトルのうち,高い周波数成分を取り出し,そのスペクトルから画像を復元したものです。白い背景の中に黒色の円が描かれた図がありますが,これがフィルタです。スペクトルの中央部(低い周波数の部分)を丸くくりぬき,その内側部分を捨て,周りの白い部分,すなわち高い周波数成分のみを残す働きをします。
復元された画像は,もとの画像に比べると非常にザラザラとした感じになっており,鳥の輪郭などが見られます。これは,高い周波数成分は画像の緻密な部分を表現していることを示しています。
このように,画像は空間周波数という観点からとらえることができ,低い周波数成分は画像のおおまかな形状を,高い周波数成分は緻密な部分の情報を担っていることがわかります。
広域通過フィルタを使った空間周波数領域での画像処理の例
(高い周波数成分を取り出す)