声道形状とホルマント周波数


   ここでは,利用例を理解する上で参考となる声道の形状とホルマント周波数について概説します。
   母音合成システムにおいて‘Calc’ボタンを押した時に開かれるウィンドウでは,音響管(声道)の伝達特性が表示されます(下記の右図)。下記は,母音/a/についての,声道形状(直径)とその伝達特性を示しています。伝達特性とはいろいろな周波数の正弦波を入力信号としたときの応答のことで,簡単に言えば,どのような周波数の信号を通しやすいか,あるいは通しにくいかを示しています。下記の伝達特性の図において上に凸のピークをもつ周波数が5つ見られますが,これらの周波数はその正弦波を通しやすく共鳴が起こることを示しています。声道の共鳴が起こる周波数は ホルマント周波数 とよばれ,周波数の低い方から第1ホルマント(F1),第2ホルマント(F2)・・・とよばれます。伝達特性のグラフにおいて,赤い丸で示している部分がそれぞれ第1,第2ホルマントになります。



   5母音のF1-F2の周波数の関係を以下の図に示します。
5つの母音が異なるホルマント周波数を持ち,F1-F2の周波数平面上では異なる位置に分布することが分かります。人間は,舌や顎の働きによりせばめの位置をコントロールし,ホルマント周波数を調整することで各母音に対応した音声を生成しています。


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